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こどもの矯正治療ガイド

Children's Orthodontic Treatment Guide

こどもの矯正治療ガイド|横浜市の矯正歯科・小児矯正・矯正なら横浜フォルテ矯正歯科(横浜駅西口 徒歩4分)

こどもの矯正
治療ガイド

まずお読みいただくにあたり、矯正歯科の分野においては、こどもと成人の区別を年齢ではなく歯並びで行います。つまり成人矯正とは永久歯の歯並びの矯正治療のことであり、成長度合いによりますが11〜14歳くらい以降は成人矯正の扱いになります。

子供の矯正治療はI期治療II期治療の2段階に分かれます。
I期治療とは、乳歯と永久歯が混ざっている混合歯列期の子供の矯正治療を指します。II期治療は永久歯列のワイヤーやマウスピースによる矯正治療を指します。こちらは本格矯正治療とも呼ばれます。
矯正治療のゴールはもちろん永久歯を綺麗な歯並びと噛み合わせにすることです。こどもの矯正治療を行う目的はその準備となります。

I期治療

乳歯と永久歯が生えかわりをしている
混合歯列期の子供の矯正治療

II期治療

すべて永久歯列の状態の
子供の矯正治療

子供の矯正治療を行うメリット

  • 骨格的なバランスの改善が図れる場合がある。成長終了後は、顎の幅や前後的バランスなどは外科的な手術を行わない限り、基本的に変化させることはできません。ただし、I期治療が強く推奨されるほどの骨格の不調和というのはそれほど多くはないため、全ての子供が行った方が良いというものではありません。
  • 永久歯列でのワイヤーによる治療の難易度が下がる可能性がある。また、永久歯列期のII期治療が必要なくなる場合がある。I期治療だけでII期治療まで行った時と同等の仕上がりになることは少ないため、当院では基本的にII期治療は行う前提でI期治療を行います。
  • 歯並びに悪影響を与える舌や唇の癖を早期に取り除ける可能性がある。
  • 見た目が早く良くなる。

子供の矯正治療を行うデメリット

  • 治療期間が長くなる。
  • 歯に固定の装置をつける場合は虫歯のリスクが上がる。子供の虫歯は進行が速いため注意が必要です。ブラケットの周囲が磨けていないとブラケットカリエスと呼ばれる矯正治療特有の虫歯ができてしまいます。
  • よって緊急性が無い歯並びで、歯が上手に磨けない子の場合は、I期治療をお勧めしない場合も多くあります。

適切な開始のタイミングは?

一般的には7〜8歳、上下の前歯が4本ずつ生え変わったころが矯正治療の開始時期と言われています。ただしこれはあくまで目安です。歯並びや成長は一人ひとり異なっているため、それぞれの子供に適した開始時期があります。周りの子供が矯正治療を始めると焦ってしまう親御さんも多くいますが焦らないで下さい。一部の症例を除き、矯正治療は1日を争うほど緊急性は高くありませんのでまずはご相談ください。

早目に矯正治療を行った方が良い歯並び・噛み合わせとは?

多くのこどもは矯正治療に緊急性はありませんが、一部の症例では早期の開始が望ましいと言えます。

受け口(下顎前突・反対咬合)

受け口の改善には上顎の成長を促すのが有効ですが、上顎の成長のピークは下顎より早いため、受け口の治療は早期の開始が望ましいと言えます。ムーシールド®︎などの簡易的なマウスピースでの改善は3,4歳から開始が可能ですが、良く本格的なMPA(上顎前方牽引装置・フェイシャルマスク・リバースヘッドギアとも呼ばれます)は7〜8歳からの開始が多いです。骨格のタイプによってはチンキャップを選択することもあります。

リバースヘッドギア

交叉咬合(反対咬合)

交叉咬合とは正常だと上の歯の方が外側にあるはずの奥歯の噛み合わせが、下の歯の方が外にある状態です。放置すると顎のゆがみが増悪する可能性があるため、早期の治療が望ましいと言えます。

乳歯が早く抜けてしまった場合(乳歯の早期脱落)

乳歯は下から成長した永久歯により歯根が吸収されて、適切な時期に抜けてすぐに永久歯が生えてくるのが理想的な生え変わりかたです。しかし虫歯などで乳歯が早期に脱落してしまうことがあります。すると永久歯が生えるまでに時間がかかるので、周りの歯がそのスペースに寄ってきてしまい、永久歯がまっすぐ生えることができなくなってしまいます。こういった場合は矯正治療でスペースを保ったり、スペースを回復する必要があります。

永久歯の埋伏方向異常

生えるスペースが無ければ永久歯は理想的な位置には生えられないため方向がズレることは多々あります。永久歯の生える方向がズレていても全てに早期対応する必要はないのですが、特に気をつけなくてはならないのは上顎の犬歯の埋伏方向の異常です。犬歯が前歯の方に強く傾斜している場合に、永久歯の前歯の歯根を吸収してしまうことがあります。この場合は矯正治療により犬歯を正しい場所に牽引する必要があります。

出っ歯(上顎前突)

程度にもよりますが、出っ歯の子供は前歯をぶつけて歯が折れたり、抜けてしまったり、神経が死んでしまったりする確率が高いと言われています。永久歯列になってから矯正治療を開始しても遅くはありませんが、早く改善するのも良いかも知れません。

過蓋咬合(噛みあわせが深い)

重度に噛み合わせが深い場合は、矯正治療の難易度が高いため、I期治療で深さを改善しておくとII期治療の難易度が下がります。ただし開始が早過ぎるとII期治療開始前の保定期間が長くなってしまう場合があります。

どんな子供でもI期治療を行なった方が良いのか?

I期治療は全ての子供に必要なわけではありません。緊急性が無く、I期治療を行わずに永久歯列の矯正治療から開始しても全く問題無いケースは多くあります。I期治療を行うデメリットに治療期間が長くなることが挙げられます。I期治療+II期治療で3〜5年程度かかります。一方、成人矯正から開始する場合の一般的な治療期間は2〜2.5年です(いずれも保定期間は別途必要)。
長期間の矯正治療が子供の負担になることもありますので、本当に受けさせた方が良い治療なのかどうかは良く考えてから開始して下さい。
ちなみに生え変わったばかりの前歯がすきっ歯なのは普通です。この時期はUgly duckling stage(醜いアヒルの子の時期)と呼ばれ、横の歯が生えてくるとともにすきっ歯が改善していきます。全て永久歯に生え変わってもすきっ歯であれば自然に改善する可能性は低いでしょう。

小臼歯を抜歯するかどうかに迷ったら

矯正治療を進める上で、小臼歯を抜歯するかどうかの選択肢が生じることがあります。明らかに抜歯が必要な場合や明らかに不要な場合は迷わなくてよいわけですが、悩ましいのは抜歯・非抜歯どちらでも治療が可能というグレーゾーンの場合です。どちらでも治療は可能(歯並びは綺麗になる)とは言っても、抜歯をした場合としなかった場合では仕上がりの歯の位置や傾きは異なります。おおざっぱな言い方をすれば、抜歯をした時の方が歯並びは一回り小さくなり、歯が内側に傾斜します。そして口唇が後退します。成人の患者さまに関しては近年の美容意識の高まりから、抜歯をして口元を下げる希望が増えているのですが、子供の場合は年齢が低ければ低いほど自分自身で抜歯を希望することはありません。しかし抜歯を怖がった子供もそう遠くない未来に美意識が高まって抜歯しておけば良かったと考えることがあります。やり直しは可能ではありますが、歯への負担も治療期間も費用も嵩んでしまいます。迷う場合に緊急性が無いのであれば本人が選択できるようになるまで待つことをお勧めします。

↓こんな場合もあります。

小臼歯を抜歯するかどうかに迷ったら01
小臼歯を抜歯するかどうかに迷ったら02

顎は子供ならいくらでも広げられる?

子供のうちに顎を広げて歯を抜かずに歯並びを整える。こう聞くととても良い矯正治療のように聞こえます。では顎の大きさは子供であればいくらでも広げられるのでしょうか?答えはもちろんノーです。当然ながら限界があり、無理をすれば後戻りしたり、将来的な歯肉退縮に繋がります。歯並びが広がって一見うまくいっているように見えても、顎はほとんど大きくなっておらず、歯が外側に傾斜しているだけの場合も多くあります。
もう少し詳しくお話しすると、上顎には急速拡大装置と呼ばれる骨を広げる装置があり、子供には有効です。しかしながら下顎はその構造上、急速拡大装置を適用できません。よって、急速拡大装置を適用すれば上顎の方が顎を広げられる量は多いということになりますが、歯並びと噛み合わせは上下を調和させる必要があるので、上顎ばかり広げるわけにはいきません。もともと、上顎が下顎に対して相対的に小さいようなタイプには上顎の急速拡大は有意義になります。

さまざまな子供の矯正装置

  • 上顎前方牽引装置(MPA・フェイシャルマスク・リバースヘッドギア)
    子供のうけ口、反対咬合の治療に用いられます。その名の通り、上顎(に固定した装置)をゴムで前方に牽引することにより成長を促し、骨格のバランスの改善を図ります。上顎の成長のピークは早く訪れるため、8歳前後から開始する場合が多いです。主に在宅時の使用となりますが、当院では1日あたり14時間の使用を目標としています。
  • チンキャップ
    下顎の成長を抑制する装置です。子供のうけ口、反対咬合、下顎前突に用いられます。当院では主に上顎の劣成長が認められない下顎前突症に適用します。主に在宅時の使用となりますが、当院では1日あたり14時間の使用を目標としています。
  • 上顎急速拡大装置(RME)
    上顎急速拡大装置
    上顎を骨格的に側方に広げる装置です。装置は歯に接着剤で固定されるのでご自身で取り外すことはできません。取り外し式の拡大装置と比較して、骨格からしっかりと広げることができます。ご自宅で朝・夕1回ずつ、お口の中を覗き込んでネジを回します。練習すれば難しくはありません。
  • 拡大床
    拡大床
    歯並びの幅を広げる、取り外し式の矯正装置です。もちろん有効な症例もありますが、この装置を頑張って使えば、顎が広がって歯を抜かないで並べられるという考えは安易です。不適切な用い方をすると不自然に歯が外側に傾いて広がってしまい、噛み合わせが悪くなったり、歯茎が下がってしまったりします。拡大床の治療を勧められた場合は、本当に適した症例なのか、複数の矯正専門医院を受診して確認することをお勧めします。
  • ヘッドギア(EOA)
    上顎の奥歯を後方に牽引する装置です。主に上顎前突(出っ歯)の治療に用いられます。主に在宅時の使用となりますが、当院では1日あたり14時間の使用を目標としています。使用していない時間は後戻りを起こしてしまいますので、使用時間が治療結果に大きく影響します。
  • ペンデュラム
    ペンデュラム
    上顎の奥歯を後方に移動することによりスペースを獲得する固定式の装置です。
  • 機能的矯正装置(バイオネーター・FKO(エフカオー)・ツインブロックなど)
    機能的矯正装置
    取り外しができるマウスピース型の矯正装置です。設計により出っ歯や深い噛み合わせ(過蓋咬合)などの改善を図ります。