あ行

アーチレングスディスクレパンシー

歯並びを整えるために、不足している、または余っているスペースのこと。単位はmm。スペースが不足している場合は-、余っている場合は+の符号をつける。スペースが不足している場合は、歯並びは叢生(ガタガタ)になり、余っている場合は空隙歯列(すきっ歯)となる。

スペースが足りない場合には、歯列矯正により歯並びの幅を広げたり、歯を後方に移動したりして、すき間を確保しますが、それでも足りない場合は抜歯を選択します。

スペースが余っている場合も見た目や発音の問題から歯列矯正治療の必要が有り、すきっ歯のスペースを閉鎖します。ディスクレパンシーとは不調和という意味で、アーチレングスディスクレパンシーの絶対値が大きいことは、歯と顎の大きさのバランスがとれていないことを表しています。

アーチファクト

CTやMRIを撮影した際に発生する、ノイズなどを原因とした実際には存在しない虚像のこと。口腔内に金属(銀歯など)が存在すると出現しやすい。

アーティキュラーレ

矯正歯科の診断に用いるセファログラムの計測点の一つ。下顎枝後縁と後頭骨基底部下縁の交点。

アクアリウム

矯正歯科専門分析ソフトDolphinのアプリケーション。患者説明用動画ソフト。数十種類の動画が有り、歯列矯正治療の過程、矯正装置の使い方などをわかりやすく解説している。国内にも導入している歯科医院が有る。

アクチバトール

activator。アクチベーター、FKO(エフカオー)とも言う。機能的矯正装置の一つ。成長期の子供の矯正治療に用いる。骨格に合わせて上顎、下顎の成長促進、成長抑制を行い、バランスの良い骨格に近づけるための矯正装置。

アシンメトリー

asymmetry。非対称であること。矯正歯科の分野では、骨格や歯列の左右非対称性に対して用いられる事が多い。また、アシンメトリーフェイスボウという左右の遠心移動量が異なる場合に用いられるものもある。⇔シンメトリー symmetry。

アスティクスリテーナー

アスティクスリテーナー唇側線が歯の色に近い白いグラスファイバーで出来ており、装着していてもほとんど目立ちにくいプレートタイプのリテーナー

マウスピース型矯正装置(アソアライナー)

アソインターナショナル社独自の、透明のマウスピース矯正装置。起源は韓国である。原則的にマウスピースを食事の時を除いて一日中使用して歯の移動を行う。透明であるため、殆ど人に気づかれずに歯列矯正を行うことができる。

石膏模型を分割、セットアップし、セットアップ模型からマウスピースを作成する。1回の印象採得で3ステップ分までマウスピースを作成することが可能である。矯正治療開始時のシリコン印象をスキャンして、全マウスピースを一度に作成するマウスピース型矯正装置(インビザライン)と比較すると、印象採得の回数が多くなるが、その分、治療方針の修正が容易である。

アタッチメント

矯正治療においてはリンガルボタンやシーガルボタン、クリートなどの留め具を指す。主に歯面へダイレクトボンディングするが、バンドに溶接する場合も有る。

後戻り

歯列矯正治療の終了後に、歯が元にあった位置の方向へ戻ってしまうこと。リテーナーの使用状況が悪いと起こる。また、外科的矯正治療の終了後に顎骨が元の方向に戻ることも言う。

アンカレッジ

固定のこと

アンカレッジロス

固定の喪失。例えば、出っ歯の矯正治療で小臼歯を抜歯した場合、抜歯して獲得したスペースは当然、出っ歯である前歯を後退させるために使われるべきである。前歯を後退させるための固定源は臼歯に求められるが、その際に臼歯がスペースに向かって動いてしまうことをアンカレッジロスと言う。

治療計画以上のアンカレッジロスを起こしてしまうと、前歯が十分に後退しないことになってしまうため、固定源の強化は重要である。

アングル分類

1899年にAngleが提唱した、第一大臼歯の噛み合わせの関係を表す分類。理想的な噛み合わせの状態がI級、上顎の第一大臼歯が前方にある場合がII級、その逆がIII級である。出っ歯の場合はII級、受け口の場合はIII級になっていることが多い。

鞍状歯列弓

小臼歯が内側に入っている歯並びのこと。下顎で起こりやすい。下顎の第二小臼歯は生える順序が遅いために、場所が足りないと内側に生えてしまうためである。

アンダーレイ

ワイヤー結紮の手技の一つ。歯列矯正用のメインワイヤーの下に、細いワイヤーを通し、合わせてブラケットやチューブに結紮すること。

関連項目:オーバーレイ

アンチクロックワイズローテーション

anti-clockwise rotation。矯正治療の結果、下顎下縁平面が反時計回りに回転すること。下顎下縁平面角が減少する方向への下顎骨の回転を表す。

異常嚥下癖

成人の嚥下では舌尖が口蓋前方に接触しているが、異常嚥下癖がある人では、舌が固有口腔から突出し、上下前歯間に入り込んでいる。このため、開咬の原因となる。

移植

歯を移植すること。移植と言っても他人の歯を移植するわけではなく、自分の歯を別の場所に移すことを言う。例えば、歯を失ってしまったところに親知らずを移植するなど。

1期治療

子供の矯正治療のこと。小児矯正治療、予防的矯正治療とも言う。矯正治療は歯並びの年齢によって2段階に分かれていて、乳歯と永久歯が混ざった混合歯列期の矯正治療を1期治療と言う。

そして、永久歯列に対するマルチブラケットによる本格矯正治療(ワイヤーを用いた矯正治療)を2期治療と言う。子供の矯正治療の目的は、成長を利用して骨格的なバランスをとること、永久歯列へのスムーズな生え変わりを誘導することである。

子供の矯正治療を行うことによって、本格矯正治療をより良い条件で行うことができる。また、将来的な抜歯や手術の回避に繋がる。1期治療を行うことにより、2期治療が不要になる場合も有る。

カスタムメイド舌側装置(インコグニート)

カスタムメイド舌側装置(インコグニート)ドイツで開発された舌側矯正のシステムの一つ。装置が薄く違和感が少ない。ブラケットおよびブラケットベースが金でできている。

※カスタムメイド舌側装置(インコグニート)は海外技工物のため、完成物が薬事法対象外となります。
完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。

●メリット
既製品と違い、オーダーメイドの装置なので、装着によるストレスを軽減し、より良い治療結果が得られます。
矯正装置の異物感が少なく、痛みや発音障害がおきにくいです。

●デメリット
カスタムメイドの装置のため装置の準備まで時間がかかります。
また、治療の期間もかかります。費用が従来の装置よりも高額になります。

舌側矯正ガイドはこちら
舌側矯正

インターディシプリナリーアプローチ

interdisciplinary。「学際的な」という意味。さまざまの領域の学者や専門の医師が協力し合うこと。歯科におけるインターディシプリナリーアプローチとは、虫歯は一般的な歯科医師、抜歯は口腔外科を担当する医師、歯列矯正は矯正を専門とする歯科医師、静脈内鎮静法は麻酔科の医師が行うというように各分野の専門を担当する医師が協力して治療にあたることを言う。

インターブラケットスパン

歯列矯正用ブラケット同士の間の距離のこと。インターブラケットスパンが小さいと、ワイヤーの自由度が小さくなる。これが舌側矯正の難易度が高い理由の一つである。

院内感染

医療機関にいる間、また医療行為を受けて何らかの病原体の感染を受けること。横浜フォルテ矯正歯科では院内感染を予防するため、患者さんごとのグローブの交換の徹底、オートクレーブによる機材の滅菌を行っています。

マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置(インビザライン)

透明のマウスピース矯正装置。世界中で約200万人の治療実績を持つ。舌側矯正(歯の裏側からの矯正)と同様、人に気付かれにくくに矯正治療を行える方法の一つ。

マウスピースは終日の装着が必要であるが、食事の際には外す。2週間に1度新しいマウスピースに交換し、歯を移動していく。表側矯正と比較し、目立ちにくいことの他、虫歯になりにくい、痛みが少ないというメリットも有る。

ただし、どんな症例でもマウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置(インビザライン)で治療が可能と言うわけではないので、矯正を専門とする歯科医師による判断が好ましい。

インプラント矯正

歯を動かす固定源として歯科矯正用アンカースクリュー(矯正用インプラント)を用いた歯列矯正のこと。歯科矯正用アンカースクリューは直径1.4〜2.0mmほどの細いネジ。これを用いることによって、従来は不可能であった治療計画も可能になった。

うけ口・受け口

前歯の反対咬合のこと。下の前歯が上の前歯より前方に位置している噛み合わせのこと。審美的でないだけでなく、奥歯への負担が大きい噛み合わせとなるため、統計的に歯を失いやすいことがわかっている。矯正治療の必要がある不正咬合の中では、最も早期から治療が開始される。

エキスト、エキストラクション

extraction、抜歯のこと。extと略される。矯正治療のために抜歯を行うことを便宜抜歯という。歯列矯正における抜歯部位は小臼歯となることが大多数である。

エクストルージョン

歯の矯正的挺出のこと。MTMにおいて行われることが多い。

エステティックライン(E-line)

側貌(真横から見た顔)において、鼻の先と、顎の先を結んだラインのこと。このライン上に上下唇の先端が有るのが美しいとされる。唇の位置は前歯の位置に大きく影響を受けるため、出っ歯(上顎前突)の人はE-lineに対して口元が突出し、受け口(反対咬合)の人はE-lineに対して口元が後退します。

矯正治療は歯並びだけでなく、顔貌の審美性も考慮して治療計画を立てなくてはなりません。無理な非抜歯による歯列矯正を行うと、口元が突出してしまうことが有るので注意が必要です。

エンドカッター

ワイヤーエンドを切断するための矯正用プライヤー。口腔内でも使用できるタイプは、カットした際にワイヤーが飛んでいってしまわないように、カットした部分を把持できる構造になっている。

エンドチューブ

歯列矯正用バッカルチューブの一つで、主に最後臼歯に装着するもの。ウイングが無いので高径が低い。

オーバーコレクション

矯正治療後の後戻りを想定して、あえて必要量を超えた歯や顎の移動を行うこと。矯正治療後の後戻りのリスクの高い、歯の強い捻転などに用いられることがある。

オーバージェット

上下顎中切歯の水平的な距離のこと(上の前歯と下の前歯の水平的な距離のこと)。単位はmm。出っ歯の場合は大きな値となり、切端咬合の場合は0、反対咬合(うけ口)の場合は負の値となる。

関連項目:オーバーバイト

オーバーバイト

上下顎中切歯の垂直的な被蓋のこと(上の前歯と下の前歯の垂直的な重なりのこと)。単位はmm。正被蓋の場合は正の値、切端咬合の場合は0mmm、開咬の場合は負の値となる。オーバーバイトが大きい噛み合わせを過蓋咬合と言う。

関連項目:オーバージェット

オーバーレイ

ワイヤー結紮の手技の一つ。歯列矯正用のメインワイヤーの上に、細いワイヤーを通し、合わせてブラケットやチューブに結紮すること。

関連項目:アンダーレイ

オープンコイル

歯と歯の間のスペースの獲得や保隙の目的でアーチワイヤーに装着するコイル。ニッケルチタン、ステンレス、コバルトクロム、ベータチタンなどのものが有る。

オメガループ

アーチワイヤーに付与する基本的なループの一つ。オメガ記号に形が似ていることから呼ばれる。タイバックに用いたり、ストッパーに用いたりする。

関連項目:ループフォーミングプライヤー

親知らず

第三大臼歯、智歯のこと。親が気付かない年頃に生えるという歯という意味である。人間の歯の数は退化傾向にあるため、親知らずの一部あるいは全部が先天的に無い人も多い。近代日本人では親知らずまで綺麗に並ぶということは殆ど無く、生えてきても中途半端に歯肉に埋まっており、炎症の原因となることが多い。

オルビターレ

セファログラムの計測点の一つ。眼窩外縁上の最下方に位置する点。フランクフルト平面に接する。

矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について

1.最初は矯正装置による不快感、痛み等があるものの、数日から1、2週間で慣れることが多いです。
2.歯の動き方には個人差があるため、想定した治療期間が延長する可能性があります。
3.装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療は患者さんの努力が必要となります。それらが治療結果や治療期間に影響します。
4.治療中は、装置が付くため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まるため、丁寧なブラッシングや、定期的なメンテナンスが重要になります。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
5.歯を動かすことで歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。
6.ごくまれに歯が骨と癒着し、歯が動かないことがあります。
7.ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受け、壊死することがあります。
8.治療中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
9.治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
10.様々な問題による影響で、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
11.歯の形を修正や、咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
12.矯正装置を誤飲する可能性があります。
13.装置を外す際、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
14.装置を外した後、保定装置を指示通り使用しないため、後戻りの生じる可能性が高くなります。
15.装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
16.あごの成長発育により咬み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
17.治療後に親知らずが生え、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせると咬み合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
18.矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。