バードビーク
矯正用プライヤーの一つ。ワイヤーの屈曲に用いる。鳥のクチバシのような形をしていることからこう呼ばれる。
ハーブスト
成長期の子供に用いる、下顎骨の成長促進を目的とする固定式の矯正装置。同様の目的では取り外しのできる装置を用いるのが一般的で、それほど多く用いられてはいない装置である。
バイヘリックス
歯列矯正装置の名称。固定式の歯列拡大装置の一つ。クワドヘリックスはヘリカルループを4つ有するが、バイヘリックスは2つである。下顎では舌があるためクアドへリックスの装着が困難であり、バイヘリックスが用いられることが殆どである。
発育空隙
乳歯は大体2歳半で生え揃いますが、その後も顎が発育するため、乳歯の歯並びにはすき間ができるのが正常です。このすき間を発育空隙と言います。大きな永久歯が生えるために必要なすき間です。6歳頃から永久歯への生え変わりが始まるので、それまでに発育空隙ができている必要があります。これが無い場合は殆ど大人の歯並びがガタガタになってしまいます。
パワーチェーン
矯正的な歯の移動のために用いられるゴムのこと。劣化するため、治療毎の交換が必要である。牽引に必要な力に応じて、力の弱いものから強いものまで、幾つかの種類が有る。
反対咬合
一般的にうけ口と呼ばれる、下の前歯が上の前歯より前に出ている噛み合わせのこと(厳密には前歯に限らない)。オーバージェットがマイナスの値であること。審美的に良くないだけでなく、アンテリアガイダンスが欠如しているため、治療の必要性が高い不正咬合である。
バンド
歯列矯正治療で用いられる、奥歯に装着する金属の輪のこと。帯環。バンドに矯正装置を溶接あるいはロウ着してから歯に接着する。歯に装置を直接、接着すると脱落の危険性が高い時に用いられる。
バンドコンタリングプライヤー
変形した歯列矯正用バンドを整形するためのプライヤー。先端の凸面と凹面でバンドを挟み込むように使用する。
ピーティーポイント(PT-point)
矯正歯科の診断で用いるセファログラムの計測点の一つ。セファログラム上で見られる翼口蓋窩後壁と正円孔下縁との交点。
ヒートベンダー
高熱を通すことにより、形状記憶合金のワイヤーを屈曲できるようにした機器。2本のベンディング用プライヤーを装備している。
不正咬合
健康上問題の有る噛み合わせのこと。歯並びのガタガタ(叢生)、出っ歯(上顎前突)、うけ口(反対咬合、下顎前突)、すきっ歯、噛み合わせが深い(下の歯が見えない、過蓋咬合)、開咬、口元が出ているなどがある。
部分矯正
一部に歯にだけ装置を装着し、歯並びの気になる部分だけを矯正治療すること。また、歯を補う治療の前処置として、歯を理想的な位置へ動かすこと(インプラントを埋入するすき間の獲得、ブリッジのために歯の平行性を獲得するなど)。どんな症例にも適用できるわけではないが、短い期間、低いコストで問題点を解消できることもある。
ブラケット
ブレースとも言う。歯を矯正的に移動させるワイヤーを結紮するための固定式の装置。歯に接着するため、患者が取り外すことはできない。以前は全てメタルブラケットであったが、近年では半透明のブラケットが主流である。
プラスチックブラケット
プラスチックでできた歯列矯正用、審美ブラケット。セラミックブラケットと比較し、柔らかいため、対合歯を損傷するリスクが無い。また、メーカーにもよるがセラミックブラケットより装置が一回り小さいことが多い。プラスチックであるため、吸水するが、最近のプラスチックブラケットは変色も少ない。
ブラックトライアングル
歯と歯の間の歯茎が下がってしまい、そのすき間が黒い三角形に見えること。歯周病が進行すると見られる。歯並びがガタガタで長年経過している部分は歯茎が下がっていることが多いため、高齢者の歯列矯正治療の後ではブラックトライアングルが目立ってしまうことが有る。
ヘッドギア
上顎大臼歯の固定あるいは遠心移動を目的とする顎外固定装置。歯列矯正用インプラントの台頭とともに使用される頻度が少なくなってきている。頭を固定源とするハイプルヘッドギア、オクルーザルプルヘッドギア、首を固定源とするサービカルプルヘッドギアがあり、症例によって使い分けされる。
変色歯
着色ではなく、歯の色自体が変わってしまっている歯のこと。失活歯(神経の治療などをしてすでに死んでいる歯)は黒く変色してしまう。また、歯の形成時期に服用した抗生物質が原因で起こっている場合も有る。その場合は1歯ではなく、全体的に変色している。
ペンデュラム
上顎大臼歯の固定式遠心移動装置の一つ。口蓋に固定源を求めたレジンパッドとワイヤー、ワイヤーを挿入するスロットから構成される。
保隙
ほげきと読む。乳歯が虫歯などで早く抜けてしまった場合、放置すると抜けたすき間に奥歯が倒れてきて永久歯が生えるすき間が無くなってしまうため、すき間を確保すること。クラウンループやリンガルアーチなどの装置が用いられる。
拇指尺側種子骨
ぼししゃくそくしゅしこつと読む。sesamoid bone。手のレントゲンを撮った時に親指の根元に認められる小さな骨。思春期性成長スパートの直前に出現するため、成長の指標として用いられる。矯正治療の検査で撮影する頭部X線規格写真(セファログラム)に写る頸椎でも、同様に骨の成熟度を測ることができる。
保定装置
リテーナー。動的矯正治療終了後に歯並びが後戻りしないように、歯を良い位置に留めておく装置のこと。取り外しのできるプレートタイプ(プラスチックのマウスピース)と、歯の裏側に接着し取り外しのできないフィックスタイプ(細い針金)がある。
補綴治療
クラウン(いわゆる差し歯、銀歯や白いセラミックの歯など)、ブリッジ、インプラント、デンチャー(入れ歯)など、喪失した歯を補うための治療のこと。補綴治療と矯正治療が両方必要な場合は、治療の順序を、治療開始前に良く検討することが肝心である。歯列矯正治療を行うと、歯の位置や噛み合わせが変化するため、補綴治療より矯正治療が先行することが多い。
矯正治療に矯正を専門とするドクターがいるように、補綴治療を専門に学んだドクターがいる。矯正を担当する歯科医師がそのまま補綴治療も行うということは、通常は無い。→インターディシプリナリーアプローチ
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
2.歯の動き方には個人差があるため、想定した治療期間が延長する可能性があります。
3.装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療は患者さんの努力が必要となります。それらが治療結果や治療期間に影響します。
4.治療中は、装置が付くため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まるため、丁寧なブラッシングや、定期的なメンテナンスが重要になります。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
5.歯を動かすことで歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。
6.ごくまれに歯が骨と癒着し、歯が動かないことがあります。
7.ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受け、壊死することがあります。
8.治療中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
9.治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
10.様々な問題による影響で、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
11.歯の形を修正や、咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
12.矯正装置を誤飲する可能性があります。
13.装置を外す際、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
14.装置を外した後、保定装置を指示通り使用しないため、後戻りの生じる可能性が高くなります。
15.装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
16.あごの成長発育により咬み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
17.治療後に親知らずが生え、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせると咬み合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
18.矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。