ターミナルプレーン
上下顎の第二乳臼歯の遠心面が成す近遠心的な面のこと。遠心面が一致しているバーティカルステップ、下顎第二乳臼歯が遠心に位置するディスタルステップ、下顎第二乳臼歯が近心に位置するメジアルステップの3パターンがある。リーウェイスペースの量に上下顎で差が有るため、バーティカルステップとディスタルステップは永久歯列ではAngle I級かII級となる。メジアルステップはAngle III級となる。
関連項目:アングル分類
タイポドント
歯科矯正学の実習に用いられる、ワックスに人工歯を埋めた模型のこと。実際に臨床で行うのと同じように、人工歯にブラケットとワイヤーを装着する。お湯にタイポドントを浸けることにより、ワックスが軟化して、人工歯が移動する仕組み。
ダイレクトボンディング
歯列矯正用ブラケットを歯に直接、接着すること。現在では当然であるが、東京医科歯科大学の矯正歯科において世界で初めてダイレクトボンディングが行われるまでは、歯列矯正治療では全ての歯にバンドが装着されていた。
智歯
ちし。親知らず、第三大臼歯の別名。wisdom teethの和訳に由来する。分別がつく年頃に生える歯という意味でwisdom teethと言うようである。
チンキャップ
子供の下顎前突(うけ口)の治療に用いられる矯正装置。下顎が大きい場合や位置が前に出ている場合に用います。チンキャップの装着により、下顎の成長の抑制や、位置の変化による、上下の顎のバランスの調整を図ります。夜間を中心に10~12時間以上装着することが望ましく、一般的に骨の成長が活発になる前(個人差はありますが9~15歳頃)の患者さんに使用されます。
ツイードアーチベンディングプライヤー
歯列矯正用のアーチワイヤーを屈曲するためのプライヤー。ファーストオーダーベンドからサードオーダーベンドまでの屈曲を行える。サードオーダーベンドの際には2本のプライヤーが必要となる。
ツインブラケット
歯列矯正用ブラケットの形態の一つで、結紮線をかけるウイングが4つあるもの。現在では最もポピュラーなブラケットの形態である。ウイングが2つしかないシングルブラケットと比較し、近遠心的な幅が大きいため、歯の動きのコントロール精度が高い反面、インターブラケットスパンは短くなる。
ツインブロック
機能的矯正装置の一つ。上下顎分離型であるため、比較的違和感が小さい。上下顎にそれぞれ拡大ネジを組み込むことができる。斜台にレジンを添加することにより再活性化が可能である。
低位
ある歯が、他の歯と比べて、歯頚側に位置すること(低い位置にあること)。後から萌えた歯の、萌出スペースが足りない場合や、骨性癒着がある場合などに起こる。
低位唇側転位
ある歯が、他の歯と比べて、低い位置で、しかも歯並びの外側にはみ出していること。後から萌えてきた歯の萌出スペースが足りない場合に起こる。上顎の犬歯は、他の歯と比べて遅れて萌えてくるため、スペースが足りないと低位唇側転位となる。これがいわゆる八重歯である。
ディスキング
歯のサイズを僅かに小さくするために歯を削ること。矯正治療を行う際に、歯を排列するスペースが少量足りない時、上下の歯の大きさのバランスが悪い時、左右の歯の大きさのバランスが悪い時などに行われる。ストリッピングとも言われる。
ディスクレパンシー
顎や歯の位置や大きさの様々な不調和のこと。歯の大きさと顎の大きさの不調和を特に、アーチレングスディスクレパンシーと言う。
デッドマン方式
レントゲン機器の使用で、照射中にスイッチから手を離すと、照射が止まる方式。例えば、レントゲン撮影中の子供が激しく動いてしまい、撮影が失敗に終わったと分かった段階でスイッチから手を離すことで、無駄な被曝を避けることができる。日本ではデッドマン方式が法律で義務づけられている。歯科衛生士や歯科助手はレントゲンの曝写スイッチを押すことはできない。
デンタルフロス
歯と歯の間(隣接面)の清掃のために用いる糸のこと。薬局などでも購入できる。滑りを良くするためにワックスを含んだものや、ミントフレーバーのものもある。歯間の清掃のために非常に有効である。
矯正治療中はワイヤーが邪魔になり、市販のものでは通すのが困難になるが、ワイヤーの下を通しやすいように柄のついた歯列矯正用デンタルフロスも有る。
頭部X線規格写真
矯正治療の検査で必ず撮影する横顔のレントゲンのこと。セファログラムとも呼ばれる。骨格や歯の傾きを詳しく分析することができる、世界共通の規格写真である。大学病院や矯正を専門とする歯科医院では矯正治療開始前に撮影し分析が行われる。
ドライマウス
唾液が少なくなり、口の中が乾く病気で、何らかの原因によって唾液が出にくくなったり口の中が乾燥して、口臭などの様々な症状が生じること。出っ歯で口が閉じにくいなど、歯並びが原因の場合は、歯列矯正治療により改善が期待できる。
トルク
歯の動きの一つで、歯冠を回転中心とした歯根の動きのこと。また、そういった歯の動きを起こすための力のこと。
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
2.歯の動き方には個人差があるため、想定した治療期間が延長する可能性があります。
3.装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療は患者さんの努力が必要となります。それらが治療結果や治療期間に影響します。
4.治療中は、装置が付くため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まるため、丁寧なブラッシングや、定期的なメンテナンスが重要になります。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
5.歯を動かすことで歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。
6.ごくまれに歯が骨と癒着し、歯が動かないことがあります。
7.ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受け、壊死することがあります。
8.治療中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
9.治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
10.様々な問題による影響で、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
11.歯の形を修正や、咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
12.矯正装置を誤飲する可能性があります。
13.装置を外す際、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
14.装置を外した後、保定装置を指示通り使用しないため、後戻りの生じる可能性が高くなります。
15.装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
16.あごの成長発育により咬み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
17.治療後に親知らずが生え、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせると咬み合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
18.矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。